光る君へ20話「望みの先に」の感想と考察メモ　望みを得る者と落ちていく者

毎週、日曜日の夜は２０時からNHK大河ドラマ「光る君へ」を見るのが楽しみです。

５月１９日放送の「光る君へ」第２０話「望みの先に」の感想と考察を書きます。

好きなドラマがあると楽しいですね

伊周、隆家兄弟の謹慎　詮子の自作自演

今回は伊周と孝家が前の天皇である花山院に矢を放ってしまった場面からはじまりました。

しかし、隆家を演じる竜星涼さんは、いつの時代でもチャラいキャラを演じますねー。もう彼が出るだけでわたしは笑えてくるのです。偶然ですが、日曜のもう少し後の時間の日テレドラマで「アクマゲーム」も放送されているんですが、ここにも竜星涼さんがチャラい役ででていまして、わたしの日曜夜の楽しみです。

あー話がそれました。伊周、隆家兄弟は謹慎となってしまいます。道長の姉の藤原詮子（吉田羊さん）はここぞと道長に伊周兄弟を追い落とすように言うのですが、道長は「情けをもって」とやさしい。道長素晴らしい人格者ですね。それをうけて詮子の顔がアップになって何かたくらむ顔になりました。

次の場面では詮子病に倒れている。道長の妻の源倫子（黒木華さん）と示し合わせた動きで、呪いをかける行為である呪詛（じゅそ）がかけられたとストーリーをつくりあげ、その犯人に伊周兄弟を陥れます。伊周が明確に「呪詛などしていない」というのに、一条天皇には伊周の証言があったとまで説明されるのですから、恐ろしい手口です。

ドラマでは推測しかできませんが、あの描き方は詮子の自作自演しかないでしょう。ネット上でも「自作自演」の言葉が多くでました。本当に道長の家族は父も兄も姉も権力闘争のためなら謀略もつかう恐ろしさがあります。しかし、そのなかで道長だけがまともで、わたしは救われる思いがしています。

為時の越前赴任へ　道長、まひろの「共演」

まひろの父の為時（岸谷五朗さん）が１０年官職につけなかったのに国司に選ばれ、さらにまひろの望みだった越前赴任まで決まってしまったことに、さすがに為時も驚き、まひろにその背景を聞きます。

まひろはついに父に、自分と道長が恋仲であったことを話しました。遠い国に逃げようかとしたことまで話したのは、まひろにとって大事な思いでだったのだなあとわたしはうれしく思いました。

まひろが為時の力量を朝廷に文書で伝えると、それを見た道長はすぐにまひろの筆跡だと見抜いて、その意をくんで天皇に伝え、宋人との関係が大事な越前で宋人の言葉を話せる為時こそ適任と天皇にも伝え、それを実現させてしまう。身分が低いものでも力量があれば官職につける社会というまひろの望む姿を、まひろ、道長の共演で実現させていく姿をあっぱれだとわたしは拍手をする思いでみました

運命に翻弄される定子

ドラマ後半では、兄たちの処分とともに天皇の一番そばにいた中宮である定子の運命が転がりおちていきます。兄たちと話すことを禁じられ、内裏から追放される姿を、中宮を近くでずっと支えてきた清少納言（ファーストサマーウイカさん）は心配そうに見つめます。

最後は定子の屋敷にまひろと忍び込んでようすを見に行くのだから驚きますが、さらに定子が伊周をつれていこうとする実資（秋山さん）らに短刀を向け、自分も死のうとするのだから驚きでした。次回、定子はどうなっていくのでしょう。自分の能力に関係かく権力からこうやって追われる人がいたことも切なく思いました。

安倍晴明（ユースケ・サンタマリアさん）はこれから先の予想を道長に伝えるところに注目しました。清明は道長に、隆家は道長の力になる、伊周は道長しだいだと話しました。確かに謹慎以降、隆家の方がきっぱりして頼もしく見えました。それに比べて伊周は泣き、動揺し不安定でした。少し前まではあれほど権力の中心に近かった伊周の急落に因果応報を見る思いがしました。

この先、道長にはずっといい人でいてほしいのですが、どうなるのでしょうか。楽しみです。

「呪詛」「祈祷」の役割と政治利用　利用した者 利用された者

このドラマでは安倍晴明が第一話から登場し、時々の権力者が清明に意見を聞き、祈祷を命じます。しかし、個々の場面を振り返ると、清明は非常に政治の先を見抜き、祈祷に見せかけて権力者の興亡の道筋にそって動いているように見えます。

いわゆる「呪詛」も政治の謀略との関係で出てきます。権力闘争において、相手が権力者に「呪詛」をしたとなればそれで罪人になるのですから、恐ろしい武器です。

そして、この祈祷や呪詛を恐ろしい「武器」として使ったのは、祈祷を使って花山天皇を追い落とした兼家であり、呪詛を使って伊周を追い落とした詮子でした。

逆に祈祷や呪詛を信じて実際の政治を軽視したのは、疫病流行時の道隆（井浦新さん）や伊周だったと思います。やはり政治の力に何でも使う立場にたった人間が強かったのだなあと思わされました。

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